SaaSと従来ITの違い

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※このページの内容は、2009年6月30日に開催されたCJI(Cloud Japan Initiative)のセミナーでの、弊社社長の駒井の講演をまとめたものです。

CJIは、SaaSベンダーが共同でマーケティング活動を行なうプラットフォームの名称で、クオンタムリープ株式会社が運営を行なっています。クオンタムリープ社は、元ソニー会長の出井伸之さんが経営する会社です。

このセミナーは、「社内外コミュニケーション活性化による競争力と売り上げの向上」というテーマで開催され、駒井は、「SaaSはこれまでのITと何が違うのか?」というタイトルで講演を行いました。

写真:セミナー当日の様子

(セミナー当日の様子)

目次

SaaSとは?

「SaaS(サース)とは、「Software As A Service」の略で、インターネットで提供されるソフトウェアの事を指します。
通常のパッケージソフトと異なり、ソフトウェアを「購入する」のではなく、必要なときにだけ「利用する」サービスの事です。」これは、Best SaaS.jpに掲載されていたSaaSの定義です。

よく、「所有から利用へ」と言われますが、従来、「パソコンを買ったり、ソフトを買ったりしていたもの」という「IT」が、「ネット上に用意されたものを利用するもの」に変化する、それがSaaSです。

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従来のITとSaaSの違い

高い信頼性

私達は、SaaSで、勤怠管理のサービスを提供しています。勤怠管理では、「誰が何時に来て、何時に帰った」という情報を集めるわけなんですが、この情報がなくなってしまうとお給料が払えなくなってしまうんですよね。だからお客様からはよく、

「駒井さんのところに大事なデータを預けて大丈夫なの?」

と言われたりもするんですが、そんなとき、お客様には

「お金の保管なら、手元より、銀行の方が安心ですよね」

というお話をさせて頂きます。

私は、SaaSを使って頂くということは、それくらい高い信頼性が得られるということだと思っています。

具体的なポイントは、3つあります。

1. プロフェッショナルによる徹底した管理
従来のITのサーバーは、買ってきて、会社の中に置かれて、社内のIT担当の方が苦労をしながら管理をしていく、というわけなんですが、SaaSのサーバーは、私達のようなプロが管理をしています。

例えば、昨日うちのメンバーに、私達が勤怠管理サービスの提供に利用しているサーバー群のOSやDBなどのセキュリティパッチやバグフィックスがどれぐらいあるものなのか聞いてみました。すると、最近の状況としては、1年間に500以上のパッチがリリースされているとのことでした。

こうしたパッチ類は、発表される度、1つ1つについて、確認・対応が必要になります。

まずそのパッチが、自分達のシステムにとって必要なものか、必要でないものかを確認・判断します。そしてそのパッチが必要だと判断された場合には、そのパッチを適用することによってシステムに悪影響が出ないかどうか、テスト環境等を利用してチェックします。このチェックで問題がなければ、あるいは問題があればその問題を解決した上で、そのパッチを実際のシステムに適用することになります。

この作業の対象が、年間500を超えるとのことでした。

このような対応を、1つ1つの企業が全部、それぞれのシステムで行っていては非常に非効率ですし、実際、各企業がこういった管理を確実に行っていくことはかなり難しいのではないでしょうか。「プロフェッショナルによる徹底した管理」これが、SaaSを利用する1つの意味ではないかと思います。

2. 20人の企業でも2万人の企業と同じシステムが使える
私達がSaaS方式で提供している勤怠管理システム「バイバイ タイムカード」には、従業員2万人以上の大規模なお客様があります。しかし一方で、20人未満の従業員数のお客様もあります。そのどちらのお客様も、そして、その他の全てのお客様も、私達が管理している1つのサーバーシステムを利用して頂いています。

このサーバーシステムは、NTTさんが運営している、極めて信頼性の高いデーターセンター内に設置されています。そして更に、私達のシステムは、「地域分散」されています。関東にあるメインのサーバーシステムとは別に、中部地区にサブサーバーシステムが用意されていて、大災害などにより万が一メインのサーバーシステムを利用出来なくなってしまった時には、地域分散されたサブサーバーシステムに運用を切り替えることによってサービス提供を継続することが出来るようになっているのです。

たとえ従業員が2万人いるような企業であっても、同等の機能・性能を持ったシステムを複数用意し、地域分散、災害対策を実施することは、費用面でも、管理・運用面でも、決して簡単なことではありません。しかし、10社、100社、1,000社のためにシステムをまとめて運用するSaaS事業者であれば、このような投資・管理は、比較的容易になります。

20人の企業でも2万人の企業と同じシステムが使える、あるいは、2万人の企業にすら実現が難しいようなシステムを利用することが出来る、これもSaaSの大きな魅力だと思います。

3. ただし!すべてのSaaSでは...
もしかすると、他のSaaS事業者の仲間の中には気を悪くする方もあるかも知れませんが、もう1つ、お伝えしておかなければいけないことがあります。

それは、今お話した内容が、全てのSaaS事業者/サービスに対して言えるわけではないということです。

世の中には色々な企業があり、色々なSaaSが提供されています。今日は、従来のITとSaaSの違いを説明させて頂くわけなんですが、従来型の「購入するソフトやシステム」にも、「良いもの」と「悪いもの」があるように、SaaSにも良いものとそうでないものがあります。それは、ごく自然に起こることなんだと思います。

SaaSには、その形式や仕組みから必然的に出て来る「良いところ」があります。ただ、実際に自分で特定のSaaSの利用を検討するときには、その特定のSaaSの内容をよく確認し、評価・判断して頂くことが出来ればと思います。

規模に対する柔軟性

お客様にシステムを提案をさせて頂くとき、よく、

「うちは今1,000人だけど、2年以内に2,000人になるから、その時にも困らない提案をして下さい」

というようなことを言われることがあります。

確かに、従来ITのイメージで、「サーバーを買って来て・・・」と考えれば、会社の規模が大きくなった時の対応を想定した規模や構成のシステムを用意しなければいけません。

では、SaaSではどうなるかと言いますと・・・

1. 必要な時に、必要な分だけ使えばOK
要するに、1,000人の時は1,000人分、2,000人になったら2,000人分のシステムを使う。1,000人の時は1,000人分の費用を払って、2,000人になったら2,000人分の費用を払って。これがSaaSのイメージです。SaaSでは、将来のために最初から2,000人分の契約をしたり、将来2,000人になることを想定した設計を検討するといったことは、一切必要ないんです。
2. 少しずつ拡張していってもシステムがツギハギにならない
「建て増し建て増ししちゃった住宅」みたいなシステムが世の中にイッパイあると思います。

やっぱり、未来の変化を正確に予測することはなかなか出来ないので、その時その時でシステムを拡張していくことになります。この結果、買い取ったシステム、つまり従来のITだと、どうしてもツギハギになってしまう。

ところがSaaSであれば、ツギハギになりにくい。ある企業の一部門のみでSaaSの利用を開始して、後から他の部門でも使い始めるとか、グループの関連会社も同じSaaSを使うことにする、などなど、こういった対応は、新たに採用して頂いたお客様向けのサービスをどんどんサーバーに追加していくモデルであるSaaSにとっては、ごく当たり前で、簡単なことなんです。

3. 「合わなかったとき」も「小さくしたいとき」も無駄は最小限
色々と散々に吟味・検討してシステムを採用した場合でも、実際に使い始めてみると、「思ってたものとはやっぱり違ったなぁ・・・」ということになってしまうこともあると思うんですよね。

でも従来のITでは、莫大なお金を使ってしまっていたりしますんで、なかなかそれを捨てることも出来ません。結果、「満足していないけど我慢して使い続ける」ということも、わりとよくあるのではないでしょうか。

それから、事業をやっていると、うまく行かない時期もありますんで、一時事業を縮小して再起を待つなんてこともあると思います。そんな時も、買い取ったシステムはそのまま手元に残ります。利用サイズが半分になったとしても、先行投資したお金が返ってくることはありません。

ところがSaaSであれば、1,000人の契約をしていて、500人ですむようになったということであれば、500人分の契約に切り替えればいい。半分でいいなら、半分の費用で利用することが出来るようになるんです。

個人で考えても、「1万円の楽しそうなソフトを買ったけど、やっぱり楽しくなかったんで1万円が無駄になっちゃった」、なんていうことがあると思います。一方で、「月額200円のiモードのサービスを使ってみたけど、3ヶ月でやっぱりやめた」ということもあると思います。こんな場合だと、損失は大分違うんですよね。

SaaSのもう1つのポイントは、「規模の変化に柔軟に対応出来る」という点だと思います。

「ありがとう」を頂くビジネス

さて、急に宗教みたいになってしまいますが、3つ目のこれは、私が一番お話したい内容です。

従来のITは、購入するものです。最初に、何百万とか、何千万、時には何億円といった投資をすることになります。
そうすると、買った瞬間からユーザーは、言葉はものすごく悪いですが、「釣った魚」みたいになってしまう。

ユーザーは、これからがんばってシステムを活用していこうと考えているんですが、売った方は、ついつい次の新しいお客さんへの営業のことなんかを考え始めてしまう。

従来のITでは、システム会社の情熱は、お客様に採用してもらった瞬間をピークに、急速に冷めていってしまったりするんです。売れるまでは一生懸命だけど、売れてしまったら・・・ということですね。

それに対してSaaSは、毎月毎月お客様から費用を頂くことによって成り立つもの。
契約して頂いても、来月も再来月もお客様に満足して頂かないとビジネスが成り立たないというものなんです。だから、SaaS提供者の情熱は、契約時からずっと長く続いていくことになります。

経済の教科書などを読むと、「経済とはお金による投票行為だ」というようなことが書いてあります。

ここではあえて、「投票行為」という言葉を悪い意味で取る事になるんですが、例えば選挙では、政治家に「期待」して投票します。そしてもしその候補が当選したとすると・・・実際には期待通りとは限らない。投票とは、期待値で行うもの。投票時点では、「期待」することしか出来ないんですね。

「シッカリ頼むよ!」の時点、つまり、「期待の時点」でお金を頂くのが従来のIT。

「ありがとう!」、つまり実績に対してお金を頂くのがSaaS。

SaaSは、毎月毎月システムを使って頂いて、満足して頂いて、ありがとうという形でお金を頂く。常に、「良かったらお金を払う」というのがSaaSの形。実はここの部分が、SaaSと従来ITで、最も大きく違っている点だと私は思っています。

ポイントなんですが、

1. 後戻りできない大きな投資が不要 → 釣った魚にならない
逆さにすれば、従来のITでは、後戻りの出来ないような大きな投資が必要だったということ。これが不要になります。
釣った魚になってしまうことがないですよ、ということです。
2. いつでも解約可能 → 満足度向上の努力
ネガティブな感じもしますが、お客さんにとっては、SaaSは月々の契約になっていることが多いので、多くの場合、いつでも解約することが出来ます。「このシステムいらないや」、あるいは、「使えないよ」という場合には、解約して、別のサービスを使える。こうなるとSaaS事業者の方は、お客様が満足してくれるように、一生懸命努力を続けることになる。

SaaSというビジネスモデルは、お客様とサービス提供者が同じ方向を向いているという点がとても良いと思います。

3. 本当にお客様に喜ばれるサービスだけが生き残る
最後に、「違い」というわけではないんですが、お話したようにSaaSでは、お客様に満足して頂いている会社だけが生き残っていくということになると思います。

従来のITが必ずしもそうだったというわけではないんですが、

「期待値を集めるのが得意な会社が世の中でどんどん繁栄していく」

のではなく、

「本当にお客さんに喜んでもらっている会社だけが残っていく」

ということになるのではないかな?と思っています。

残念ながら、IT業界、「やってみたがうまくいかなかった」、「すごいお金を使ったけど無駄になった」というお話をあっちこっちで聞いてしまいます。そういう寂しい話がどんどんなくなっていって、いいものが世の中にどんどん広がっていく、そういうことになるのではないかと私は思っています。

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お金のはなし

お金のお話は重要なので、1つの章として取り上げました。

世の中で言われていること、例えば、総務省さん、経産省さんによる説明なんかでもそうなんですが、「SaaSは、初期コストが安い」というフレーズをよく耳にします。しかし、決して、「SaaSは、トータルコストが安い」とは言わないんですよね。

多分、SaaSを売る側も買う側も、ほとんどの人が心の中で、

「SaaSって、長い目で見たら割高なんじゃないの?」

と思っているんじゃないかと思います。

もちろんここまでお話したように、SaaSには、信頼性や柔軟性、そして、「ありがとうを頂くビジネス」といった良い点がたくさんあります。だから、「トータルコストがちょっと(?)高くてもいいじゃないか!」という意見もあるかも知れません。

でも、本当にSaaSは、従来ITよりもトータルコストが高くなるものなんでしょうか?

例えば従来の買取型システムの費用イメージは、

  • 導入時に大きな費用がかかって、
  • 何年かおきにバージョンアップでまたまとまった費用が必要になって、
  • ただし、バージョンアップまでは特に費用が掛からない

といった感じだと思います。

それに対してSaaSでは、

  • 一定の料金をずっと払う
  • 最初は小さな額だけど・・・
  • 累積すると、だんだんだんだん大きな額になっていく

というのが費用のイメージだと思います。

だから、どうしても「SaaSって、長い目で見たら割高なんじゃないの?」ということになってしまうんだと思います。

で、「そんなことないですよ」っというのが私の考えです。
そして、「同じ条件で、真のトータルコストで比べてみましょうよ」というのが私からの提案です。

「同条件」というのは、例えば先ほどの信頼性や柔軟性といった点です。それから、「真のトータルコスト」というのは、なかなか難しいんですが、少し整理してみると、こんな感じです。

1. 想定外費用
SaaSでは、想定外の費用が突発的に発生するといったことがありません。例えば買い取ったシステムでは、やれハードディスクが故障した、ファンが壊れたといったような場合に、部品代や修理代などの費用が必要になるといった話がよくあります。

あるいは、最初に費用を払ったら、バージョンアップしない限りもうお金は掛からない、と思っていたら、見積書に異様に小さな字で「別途システム総額の12%が年間保守費用として必要」と書いてあった、など、採用時点では「結局全部でいくらかかるのか」が分かり難いということがよくあります。

SaaSでは、サーバーのハードウェアが故障したからと言って追加で費用を請求されるということは、私が知る限りは、まずあり得ないですし、また、別途で保守費用が必要となるというケースも希だと思います。

2. バージョンアップ費用
ではバージョンアップ費用はどうなっているか? 実はSaaSでは、「バージョンアップは無償」となっているケースが多いんです。それはなぜかと言うと、お客様ごとに異なるバージョンのプログラムをシステム内に混在させておくより、全てのお客様に常に同じバージョンを利用して頂いている方が、SaaS事業者にとって都合がいいからなんです。

これに対して買取のシステムでは、バージョンアップは有償の場合が多いと思います。これは、SaaSに比べれば、システム会社にとって、各ユーザーの利用バージョンが一律に揃っていることの必要性があまり強くないからだと思うんですが、じゃあ、「うちはバージョンアップは必要ないよ」ということであれば、ずっとバージョンアップをしないでいられるかというと、なかなかそうは行きません。

ずっとバージョンアップしないでいたら、「バージョンアップしないともうメンテナンス出来ません」とか、「このバージョンが利用出来るOSはもう手に入らないので、サーバーが壊れたらもう復旧出来ません」といったことを言われた、という経験をお持ちの方も多いのではないかと思います。

バージョンアップは、望む、望まないに関わらず、必要になるものなんだと思います。

3. 障害対応の人件費
システムにトラブルが発生して大騒ぎ。調査や復旧のために担当の方々が二日も三日も徹夜した。。。
こんなお話も、決して珍しくないのではないかと思います。さてその人件費、「システムのコスト」として認識されているでしょうか?

SaaSの場合は、サーバーのお守りは、当然、我々のようなSaaS事業者が行います。そもそもが専門スタッフによってしっかりと管理されているので、システム障害は比較的起こり難いし、起こったとしても被害を小さく納めることが出来る場合が多い。例えば私達の「バイバイ タイムカード」では、サーバーの内外で約20のロボットプログラムが動いていて、これらが常にシステムを監視しています。サーバーに異常な兆候があればすぐに担当者の携帯が鳴るようになっているので、問題を未然に防ぐことが出来ますし、また、問題が起こったとしても、迅速に原因を突き止め、対処することが出来るようになっています。

障害はそもそも起こり難い、そして、例え障害が起こったとしても、お客様のところで大きな人的コストが発生することはない。

買ってきたシステムは、なんだかんだ言って自社の人手が随分とかかるもの。システムのコストを考えるときには、こういった人件費を忘れてはいけないんですね。でも、SaaSであれば、忘れてしまっていいということなんです。

従来のITが安いのか、SaaSが安いのか、やっぱりこれは、ケースバイケースになるんで、「SaaSが安いです!」と宣言出来るわけではありません。でも同じように、「長い目で見たらSaaSは割高」と断定出来るわけでもありません。

だから逆に、

「長い目でみても、SaaSの方が安いことも、もちろんあるんですよ!」

っということが言えるんですね。

システムのお金は、是非、同じ条件で、そして、真のトータルコストで評価して頂ければと思います。

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まとめ

ここまでに色々とお話させて頂きましたが、信頼性の話にしても、柔軟性の話しにしても、そして、お金の話にしても、従来のITとSaaSとの違いはたくさんあります。でも、私としてはやっぱり、

「お客様の満足を集めないとビジネスにならない。だから、提供者はいつまでも、一生懸命努力する」

ここが、SaaSの一番重要な点で、そして、「世の中を変えてしまうかもしれない!」、というとても魅力的な部分だと思います。

従来のITには、心地悪いことがいっぱいあると思うんです。
「買っちゃったからしょうがない」とか。

「SaaSは心地悪いITを、心地いいITに変えてくれるんじゃないか!」

これが、私の独断と偏見によるまとめでです。

お付き合い頂きまして、ありがとうございました。

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