※このコラムは2007年に弊社で作成したコンテンツです。当時「クラウド」や「SaaS」という言葉はなく、「ASP」についてご説明したものですが、現在でも本質に大きな違いはないと考え、そのまま掲載させていただいています。

ASPとは、Application Service Providerという言葉の略称で、 新聞などでは「ソフトウェアの期間貸し」などと説明されています。

少し分かりやすいように訳してみると、「システムを、サービスとして提供するもの(人とか会社とか)」 といった感じになるでしょうか?

これは、「給与計算システム」、「会計管理システム」、そして「勤怠管理システム」 といったようなコンピュータシステムを、「販売物」としてではなく、「サービス」として提供するといった意味合いです。

従来コンピュータシステムというものは、数百万円、数千万円といった大きなコストで購入し、 そのシステムの「入れ物」となる「サーバー」と呼ばれるコンピュータを社内に設置し、 利用するというものが多かったかと思われます。これに対してASP型のシステムでは、 複数の企業が同時に利用出来るような大規模なサーバーをASP事業者が持ち、利用者は、 使った分だけの月々の費用で、インターネット越しにそのシステムを利用するという形式になります。

ASPとは

ASPという用語自体は、「Provider」つまり、「提供者」といった言葉の意味の通り、 当初はこのようなサービスを提供する「企業」を指していたのですが、徐々に「ASP」という略語が一人歩きし、 現在はシステムの提供方式やビジネスモデルをあらわす言葉として利用されているようです。

(ASPを提供する事業者を、「ASP事業者」 と呼ぶことがありますが、元々の意味合いから言えばこれは、「アプリケーション サービス提供者事業者」 というヘンな言葉になります。しかし、すっかり定着してしまったので、別に間違いではありません。
また、「ASPシステム」という言葉も、「アプリケーション サービス提供者システム」という感じで、少し違和感があります。
ネオレックスでは、一応の折衷案として、バイバイ タイムカードのことを「ASP型 勤怠管理システム」と呼んでいます。)

目次

ASPの歴史

ASPという言葉は、1990年代の後半から使われ始めたようです。

日本でも1990年代の終わり頃から注目されるようになり、一時はちょっとしたブームのようになった時期もありました。

しかし当時は、インターネットの通信速度が遅く、また非常に高価だったこともあり、ASPが広く普及することはありませんでした。

ところが2002年頃から、日本国内におけるインターネットの通信速度が劇的に向上し、同時に通信コストが大幅に低下していったことにより、急速にASPが活用される土壌が出来上がって行きました。

また同時にこの頃から、システムの高度化、システムの重要性の高まりといった変化や、システム障害やシステム刷新の大騒動という経験などから、コンピュータ システムを自社内に抱えることが負担と不安の要素となると考える企業も増えてきました。

そんな中で、「安価に、安心して利用出来るシステムの形態」として、ASPが徐々に認知され、普及していくようになりました。

ネオレックスがバイバイ タイムカードの提供を開始した2003年頃は、一時のブームの後だったということもあり、「今さらASP?」という声を聞くこともありました。

しかしその後、ASP型システムのメリットが認知されるようになり、また、総務省が「共同アウトソーシング事業」として自治体におけるASP型システムの利用を推進したことなどを受け、今ではASPは、「古いもの」というよりは、「新しいもの」として認識されるようになってきたのではないかと思われます。

ネオレックスは、ASPは今後、「古い」とか「新しい」といった表現をされるものではなく、一般的なシステム利用の1つの選択肢として定着していくものと考えています。

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ASP型システムのメリット

「ASP型システム」と一言で言っても、様々な企業が様々なやり方でシステムを提供しているため、単純にまとめてしまうことは出来ません。

そこでここでは、少し曖昧ですが、「下記のような条件を満たしているASP型のシステム」という前提に基づいて、一般的なメリットを挙げてみます。

  • 一定数以上のユーザーを持っている
  • 一定期間以上に渡り、サービスの提供を継続している
  • 専門の技術者により設計・開発されている
  • 専門の技術者により、運用・管理されている
  • 適切なサーバー機材を使用している
  • 適切な環境においてサーバーを運用している
  • データの安全性、保全性が十分に確保されている
  • 実績に基づいて、適切な価格体系が設定されている

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低コスト

一般にASPでは、ユーザーとなる企業がサーバー機材を購入することはありません。 従って、買取型のシステムに比較して、初期導入コストが大幅に低くなります。

一方でASPでは、 通常月々の利用料が発生します。買取型のシステムでは「利用料」というコストは発生しないため、 一定期間以上の利用であれば、結果として買取型のシステムの方が安価になると考えがちです。

ASP型システムの費用イメージ  買取型システムの費用イメージ

左側がASP型システムの費用イメージ、右側が買取型システムの費用イメージです。

ASP型のシステムは、初期費用が小さいですが、毎月利用料が発生するため、累積費用は年々増えて行きます。
これに対して買取型のシステムは、購入してしまえばその後費用が掛かることはありませんので、 累積費用はいつまで経っても変わりません。
この例では、 6年目にASP型システムが買取型システムの費用を追い抜き、その差はどんどん広がっていきます。

しかし本当にそうでしょうか?

実態としては、買取型のシステムにはいくつかの見えないコストがあるものと考えられます。
例えば「サポート契約費用」。電話でのサポートや不具合対応向けの費用として、 買い取ったシステムの総額の5%から20%程度が年間必要になるケースが多いようです。
その他にも、サーバーを利用するための電気代や通信回線の費用、サーバー運用担当者の人件費 (専任ではないとしても)、また、時折発生するハードディスクやファン等の機材破損の対応にも、 いくらかの費用が必要になります。

そしてシステムの導入から5年ほど経つと、今度は買い取ったシステムが古くなり、 システムの刷新(入替)が必要になってきます。

このような様々な費用を想定に加えると、グラフは下記のように変化します。

買取型システムの実態のグラフ

ASP型と買取型の比較のグラフ

ASP型システムと、買取型システムの累積費用を比較すると、上記のようになります。

今回のケースでは、どの時点を切り出しても、 ASP型の累積費用が買取型の半分程度になるという結果となりました。

もちろんこれは1つのモデルケースであり、 全てのケースにおいて買取型システムのコストがASP型システムのコストの倍になるというわけではありません。

しかし、このようなケースが発生することは事実であり、またそれは、決して少数ではないと考えられます。

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高信頼性

ASP型のシステムは、一般的には、通常の企業が自社向けに導入するよりも信頼性の高いサーバー機材を利用します。 また、データセンターの利用などにより、電源や回線などの信頼性を高めると共に、地震等の災害にも備えを持っています。

これはちょうど、銀行が一般企業よりも巨大で堅牢な金庫を持っているのと同じようなもので、 ASP事業者にとってのサーバーシステムは、お客様の情報をお預かりし、サービスを提供するための大切な設備となるからです。

また、一般の企業が自社向けにサーバーシステムを導入する際の目的が、多くの場合「コスト削減」であることに対して、 ASP事業者にとってのサーバーシステムへの投資は、「売上拡大」を目指すものであるという点も、 その理由の1つとして挙げられるかと思われます。

そしてASP型のシステムは、専門の技術者によって運用・管理されます。

インターネットに接続されたサーバーは、常に様々な危険にされされています。 サーバーシステムの運用・管理においては、日々発見される新たな手法の攻撃に備えて、 セキュリティパッチの適用やポート等の設定調整を行う必要があります。

更にサーバーの動作状況も常に変化します。 メモリやハードディスク等の利用状況を把握し、 利用規模の拡大や過去のデータの蓄積に伴ってサーバーシステムが限界を迎えてしまう前に、 データベースのメンテナンスを行ったり、機材類の追加や交換を行う必要があります。

更にサーバーの動作状況も常に変化します。メモリやハードディスク等の利用状況を把握し、利用規模の拡大や過去のデータの蓄積に伴ってサーバーシステムが限界を迎えてしまう前に、データベースのメンテナンスを行ったり、機材類の追加や交換を行う必要があります。

このようなサーバーシステムの運用・管理業務は、すでに高度に専門化された分野となっていますが、 実際には多くの企業で専門外の担当者が任命され、適切な運用・管理を行うことが出来ず、結果として大切なデータが失われたり、 システムが停止したり、あるいは重要な情報が外部に漏洩してしまったりといったトラブルを生んでいるようです。

ASP型のシステムでは、信頼性の高い機材と環境を用い、適切に設計された管理・運用業務が、 専門の技術者によって行われることとなるため、高い信頼性を生むことが出来ます。

もちろんASP型システムの中には、信頼性の低いサーバーシステムを利用していたり、 専門家による適切な管理・運用が行われていなかったりするものもあります。しかしこのような場合、 処理能力の低下や障害の発生などにより、そのサービスを長く続けていくことは出来なくなっていくものと考えられます。

時々、「大切なデータを外部に預けることは出来ない」といったお話を伺うことがあります。 しかし一方で、本当に大切なものは、信頼のおける専門家に預けたり、任せたりするという考え方もあります。 ちょうど、皆さんがお金を銀行に預けているように。

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短期間稼動

ASP型のシステムは、買取型のシステムに比較して、短期間に導入し、稼動させることが出来るものが多くなっています。

これは、買取型のシステムでは、サーバー機材等の手配、セットアップ、 設置といった段取りが必要になるのに対して、ASP型のシステムでは、このような作業が一切必要ないからです。

また、カスタム開発でゼロから作るようなシステムの場合、結局のところ「出来上がってみて初めて、 ちゃんと利用出来るものになっているかどうかが分かる」ということとなり、数ヶ月、あるいは数年の期間と、 数百万円から数億円の費用を掛けて、使い物にならないシステムを作り上げてしまう、 というような心配もありますが、ASP型のシステムの場合は、すでに出来上がっていて、 多くの企業で活用されているものを、実際に触れてみて、使ってみた上で採用することが可能なため、このような心配がありません。

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地域分散への対応

ASP型システムのサーバーは、インターネット上にあります。つまり、地球上のどこからでも、 インターネットに接続することが出来る限りは利用することが出来ます。

このため、支店や営業所、店舗、工場、物流センターなどの拠点が様々な地域に分散していたとしても、 各拠点で同じシステムを、同じように利用し、データを一元化することが出来ます。

非ASP型システムの場合、地域に分散した拠点間でシステムを共有するためには、 専用線やVPNと呼ばれる特殊なインターネットの利用法を活用し、WAN(Wide Area Network:ワン) と呼ばれるようなネットワークを独自に構築することが必要になります。

また場合によっては、 それらの分散した拠点の全てにサーバー機を設置する必要が出るケースもあり、結果として莫大な初期投資と、 大変な保守・運用体制を用意し、マスタやデータに不整合が起きないよう様々な工夫をすることになるといった事態に陥ってしまいます。

地域分散した複数の拠点での業務を統合管理したいといったニーズに対して、ASP型システムは最適な選択肢となるものと考えられます。

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